2011年度|都市計画
日本では今後100年の間に人口が半減すると見られている。農村は食料生産の場として重要であるにもかかわらず人口流出傾向は続き、農地の維持管理はいっそう困難になり、同時に食料自給率の低下や国土荒廃などの問題の発生が懸念される。一方、農村には自然エネルギーの期待があり、国土レベルでエネルギー問題 を考えなければならない現状において新たな価値を見い出すことができると考えられる。ここでは、今までエネルギーの供給先のひとつであった郊外農村をエネルギーの生産地として再構築することで、従来の大量 生産大量消費型のエネルギーシステムからの転換を図ると共に、農業を高効率化し食料生産力を向上させていくことを提案する。人口減少後の茫漠たる土地を管理するため、エネルギーと農業の生産拠点を大都市郊外に散在させ、それらをエネルギー・情報・交通インフラが一体化した構造体でネットワーク化する。農村 においては、豊富に採取できる、環境負荷は少ないが供給の不安定な自然エネルギーを最大限利用し、その不足分を都市から供給される都市ガスを使う燃料電池コージェネレーションシステムで補うことで、従来エネルギーの供給の安定化・多元化を図る。農村と都市がエネルギーを相互に融通・補完し合うことで、リスク分散型の持続可能な社会が構築される。そのような想定のもと、地域資源を活かした100年後の農村の姿をエネルギーの観点から描く。